梅が咲き、桜が咲き始める頃になると、待ちわびたお花見シーズンの到来ですね。心なしかうきうきしている人も多いでしょう。
そんなお花見は、日本人が古来から楽しみにしていた春の行事です。
そして、天下統一を成し遂げた、豊太閤こと豊臣秀吉も花見を楽しみにしていたでしょう。
彼は、生涯に京都の醍醐寺と奈良の吉野山で二度にわたり豪華絢爛な大花見を催しました。
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最晩年の豊臣秀吉が催した京都醍醐寺の花見
一般的に「秀吉の花見」と言えば、この「醍醐の花見」が有名でしょう。
慶長3年(1598年)の春、豊臣秀吉は京都の醍醐寺において、約1300人を招待し盛大な花見を行いました。
呼ばれたのは、息子の豊臣秀頼と正室の北政所ねね。そして、側室も淀殿、松の丸殿、三の丸殿、加賀殿と勢ぞろいです。
その他、諸大名やその奥方や女中衆も呼ばれています。
ただし、諸大名など男達は、醍醐寺付近の警備や会場内の茶屋の運営などにかりだされたので、実際に花見自体に参加したのは、秀吉・秀頼の親子と五大老の一人前田利家以外は女性ばかりだったそうです。
そして、秀吉はその参加した女性達に1人あたり3着ずつの着物を贈呈し、花見中に2度の衣装替えを求めたそうです。
ちなみに、その着物代だけでもスゴイですよ。なんと現代の貨幣価値にすると40億近くにもなるんだとか。
いやはやもう、スゴイというレベルを超越していますね。
しかも、秀吉はこの花見のために醍醐寺のお堂を再建し、さらに、近隣諸国から700本の桜の木を持ってこさせて新たに植え、立派な庭園を造ったそうです。
これはもう、着物代と合わせると、とてつもなくお金をかけた花見だったんでしょうね。
しかし、秀吉はこの豪華絢爛な花見の日から五か月後に病気で亡くなります。享年62歳でした。
まさに、人生の最後を飾る大花見だったんでしょう。死期を悟っていたかもしれません。
天下統一後、5000人を引き連れた吉野の花見
醍醐の花見が豊臣秀吉最晩年の花見だったのに対し、奈良の吉野山で催された花見は、絶頂期に催された花見でした。
天正18年(1590年)、秀吉は小田原城を攻め北条氏政と北条氏直の父子を降伏させ、天下統一を果たしました。
そんな戦国時代が終わった文禄3年(1594年)に、吉野山での花見は催されました。そして、この地に訪れた秀吉の一行は何と5000人なんです。
醍醐の花見の1300人もスゴイ人数ですが、吉野山の花見はその3倍以上です。しかも、醍醐の花見が1日だけの開催だったのに対し、吉野山には5日間滞在し、歌の会・茶の会・御能の会などを開いて豪遊しています。
引き連れた武将たちも、徳川家康・伊達政宗・前田利家・宇喜多秀家などそうそうたる面々で、秀吉の権勢を大いに世間に知らしめました。
そして、その花見の会場の本陣となったのが、吉野山中腹にある吉水院(現、吉水神社)です。
吉水神社には、太閤(豊臣秀吉)花見の品として、豊太閤愛用金屏風が展示されています。
吉野の桜は一目見るだけで千本の桜が見える。ということで「一目千本」と言われ、山の下から上にかけて、下千本・中千本・上千本・奥千本と大きく4つのエリアに分かれています。
中千本にある吉水神社からは、まさにその一目千本を象徴するような絶景桜を見ることができるんです。
そして、吉水神社から山を登った上千本にある吉野水分神社(よしのみくまりじんじゃ)も秀吉とゆかりがあります。
この神社は古くから子守明神と呼ばれ子宝・子授けの神として信仰されています。秀吉も祈願したところ、淀殿は秀頼を懐妊し出産しました。
秀頼は秀吉が56歳の時の子供ですからね。喜びもひとしおだったと思います。
最後に
醍醐の花見、吉野の花見、どちらも天下を統一した豊臣秀吉ならではの豪華絢爛な花見だったようです。
なお、今回取り上げた、京都の醍醐寺、奈良吉野の吉水神社・吉野水分神社は桜の名所であり、世界遺産の登録資産でもあります。
桜の季節はもちろん、それ以外の季節でもぜひとも訪れたい素晴らしいところです。
醍醐寺(だいごじ)
醍醐寺の詳細情報
山号 | 醍醐山・深雪山 |
本尊 | 薬師如来 |
宗派 | 真言宗醍醐派 |
所在地 | 〒601-1325 京都市伏見区醍醐東大路町22 |
TEL | 075-571-0002 |
FAX | 075-571-0101 |
開門時間 | ※3月1日から12月第1日曜日までの期間 午前9時~午後5時まで ※12月第1日曜日の翌日から2月末日までの期間 午前9時~午後4時30分まで なお、拝観券の発券は閉門1時間前までです。 (各所入場は閉門30分前まで) |
拝観料 | ■3か所共通券(三宝院・霊宝館・伽藍) ※通常期 大人800円 ※春季(3/20~5/15)秋季(10/15~12/10) 大人1500円 |
アクセス | 京都市営地下鉄 醍醐駅より徒歩10分 |
駐車場 | 普通車(約100台)700円 大型車(約8台)2,000円 ※5時間まで 以降は30分毎に 普通車100円大型車300円加算 |
H.P | 世界遺産 京都 醍醐寺 |
吉水神社(よしみずじんじゃ)
吉水神社の詳細情報
御祭神 | 後醍醐天皇(ごだいごてんのう) 楠木正成公(くすのきまさしげこう) 吉水院宗信法印公(よしみずいんそうしんほういんこう) |
所在地 | 〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山579 |
TEL | 07463-2-3024 |
参拝時間 | 午前9時~午後5時 |
アクセス | ロープウェイ「吉野山駅」徒歩約20分 |
駐車場 | 専用駐車場あり |
H.P | 吉水神社 |
吉野水分神社(よしのみくまりじんじゃ)
吉野水分神社の詳細情報
御祭神 | 天之水分大神(あめのみくまりのおおかみ) |
所在地 | 〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山1612 |
TEL | 0746-32-2717 (広岡宮司宅・17時30分以降) |
アクセス | ロープウェイ「吉野山駅」徒歩1時間30分 バス「奥千本口」徒歩15分 |
駐車場 | 有り(2台) |
H.P | 無し 参考:吉野水分神社|吉野山観光協会 |