現在、日本国内では毎日約3,000人もの患者さんが病気やケガなどのために輸血を必要としています。しかし、輸血のための血液製剤は、これだけ医療技術が発展した現在でも人工的に造ることができません。
したがって、血液の安定的な供給のために献血が不可欠ですが、少子高齢化や若者の献血離れなどの影響によって献血者は減少傾向です。
そこで、今後も血液を安定的に患者さんへ供給するためにも、あなたの協力がぜひとも必要なんですね。
とは言っても、献血をしたことが無い人にとってはメリットやデメリットなど気になることが色々あると思います。
実は私は今までに献血を35回経験しました。(全て全血献血)
なので、献血について少しだけ詳しいです。
そこで、そんな献血について私なりに検証してみたいと思います。
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献血は健康な大人ができる身近なボランティア
献血は16歳から69歳までの健康な大人で基準に合えば、誰でもできる身近なボランティアです。
よくテレビで「はたちの献血」のコマーシャルを放映しています。最近ではフィギュアスケートの羽生結弦選手が出演しているのを見かけた人も多いでしょう。
もしかすると、「はたち」という言葉から「献血は20歳からしかできない」と思っている人もいらっしゃるかもしれませんが、献血は16歳からできますよ。
※200ml全血献血の場合(400mlでは17歳以上から)
ちなみに、この件に関しては、未成年者は献血できないとの誤解を招くということで、今後名称を変更する見通しのようです。
そして、この献血は健康な大人で基準に合えば誰もができますが、人より多くすることはできません。
例えば、400ml全血献血の場合だと、献血と献血の間は男性で12週間、女性だと16週間空けないとダメですし、年間の献血回数も男性で3回以内、女性で2回以内と決まっています。
これは誰であろうと同じです。献血のコマーシャルに出演している羽生結弦選手であろうと、「霊長類最強女子」の吉田沙保里選手や「二刀流」の大谷翔平選手でも同じです。
例え、オリンピックで金メダルを取るアスリートであっても、日本最速の165キロを投げるプロ野球選手でも、あなたと全く同じ量と回数しかできません。
そして、一般的な募金などのボランティアでは、お金を多く出せば出すほど貢献度が高くなりますね。
しかし、献血の場合では、超大金持ちのソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さんであっても、これもまた、あなたと全く同じ量や回数しかできません。
だから、献血は貴重なんですよ。
「お金で買えないものがある」なんて言葉は偽善っぽくて好きではありませんが、献血はまさしくお金では買えないんです。
もしあなたが、健康な大人で基準に合うならば、ぜひその貴重な血液を提供して下さい。
それは、あなたしかできませんからね。
献血にはメリットがいっぱいあるって本当?
献血には様々なメリットがあると思います。
私自身、今までに35回献血しましたが、その経験上で感じたメリットを書いてみます。
心身ともにリフレッシュできる
私的には、これが一番のメリットですね。
現在の医療技術では血液製剤を人工的に造ることができません。そして、上記にも書いたように、大人一人ができる献血量や回数は誰であろうと同じなんです。
したがって、献血をした後は、何よりも、
「人に対して良いことした」
「こんな自分でも誰かに役に立っている」
「少しは社会に貢献できたかもしれない」
といった気持ちで心が満たされて癒されるんです。自分の自信にもつながります。
もし、何か嫌なことがあった時や落ち込んだ時でも献血をすれば、スパーンと吹き飛ばしてくれるぐらいの爽快感がありますよ。
よく、献血をすれば血を抜くことになるのでデトックス効果があったり代謝が活性化したりする。とも言われます。
これに関しては、私は全くよく分かりません。しかし、体が軽くなったような気がするのは事実です。
多分、血を抜いたということよりも、良いことをしたという気持ちで、心も体も軽くなるんだろうと思います。
あたたがもし、仕事や家庭などで嫌なことがあったり落ち込むことがあったりした時は、ぜひ一度献血をしてみて下さい。気分が一気に明るく変わるかもしれません。
ただ、一つ気を付けて頂きたいのは、うつ病などで薬を服用している場合は、薬の種類にもよりますが基本的に献血できません。
という訳で、人にもよりますが、献血をすれば何となくニコニコしてきて心身ともにリフレッシュできること請け合いです。
お土産や記念品がもらえる
献血をすれば、帰りに何かとお土産がもらえます。ボールペンであったり洗剤であったり高価なものではありませんが、もらえると嬉しいです。
また、献血の回数に応じて記念品がもらえます。
少し前に、私はこれをもらいました。
献血30回でもらえるガラスの器です。造形作家の多田美波さんによる作品ですね。
お猪口のようですが、まだ一度も利用していません。
他にも、献血ルームではお菓子が食べられたり、ジュースが飲めたり、イベントに参加出来たりと色々サービスしてくれます。
まぁ、これらのことは、あくまでおまけみたいなものなので、このために献血に行く人は少ないでしょうが、サービスしてもらえると嬉しいです。
血液検査で健康がチェックできる
このことを献血の最大のメリットだとする人が多いです。私自身も、とても参考にさせてもらっています。
何しろ無料で血液検査をしてもらえるわけですからね。
ただ、一つ勘違いしてもらいたくないのは、この健康チェックはあくまで「健康チェック」であって「病気のチェック」では無い。ということです。
ようするに、健康な人に対してのチェックであって、体に不調を感じている人がチェックするものではないんです。
体に不調を感じているのであれば、献血に行くよりもまずは病院に行くのが先決です。
今の状態でも献血の事前チェックをクリアできるのかもしれませんが、血液をもらう方からしても、体に不調を感じている人の血液はもらいたくないでしょう。
ですので、健康チェックに献血を利用していいのは、特に自覚する体の不調はないんだけれども、最近運動不足でメタボ気味なんだな~。だとか、毎日飲んでるからな~。といった程度ぐらいまでだと個人的に思います。
体に不調を感じているならば、何度も言いますが献血よりも先に病院に行って下さいね。そして、体の不調を無くしてから改めて献血して下さるようお願いします。
という訳で、あくまで結果的に健康チェックもしてもらえるというだけであって、検査ありきでの献血は本来の趣旨と違ってきます。
献血すればこのような項目を検査してくれます
では、献血すれば具体的にどのような項目をチェックしてくれるのでしょうか。
見た方が早いでしょうから、私の検査成績をお見せします。
過去5回分が一覧で表示されます。
生化学検査としては、
- ALT(GPT)
- γ-GTP
- 総蛋白 TP
- アルブミン ALB
- アルブミン対グロブリン比 A/G
- コレステロール CHOL
- グリコアルブミン GA
の7項目になります。
そして、血球計数検査では、
- 赤血球数 RBC
- ヘモグロビン濃度 Hb
- ヘマトクリット値 Ht
- 平均赤血球容積 MCV
- 平均赤血球ヘモグロビン量 MCH
- 平均赤血球ヘモグロビン濃度 MCHC
- 白血球数 WBC
- 血小板数 PLT
の8項目になります。
女性は貧血気味の人が男性よりも多いので、ここで引っかかる人が多いようです。
これが基準値です。
今のところ特に問題は無いようですね。
私はお酒が大好きですが、ALT(GPT)やγ-GTPも基準値内なので一安心です。
ちなみに、検査項目の「グリコアルブミンGA」は2009年に新しく項目に追加された糖尿病関連の検査です。
最近は若くして糖尿病になる人が多いようなので、この項目の追加は糖尿病の早期発見につながります。
きちんと確認!献血のデメリットやリスクとは?
献血にはメリットがありますが、当然デメリットやリスクもあります。
軽微なものを含め約1パーセントに健康被害が発生しています
日本赤十字社によると、献血による健康被害は以下のように発生しています。
採血による献血者の健康被害は、軽微なものも含めると総献血者数の約1%(5~6万件/年)に発生しており、そのうち医療機関に受診する健康被害は総献血者数の約0.01%(700~800件/年)を占めています。
引用
献血者健康被害救済制度に関するQ&A
はじめての献血で緊張していたり、あまり体調の良くない時に献血した場合などに、気分が悪くなったりめまいがしたりする人もいるようです。
ただ、そんな場合はすぐ看護婦さんが対応してくれますし、しばらく横になって安静にしていれば通常は軽快します。
どちらにしても、腕に注射針を刺すのですからリスクを完全にゼロにすることはできません。
この約1パーセントの健康被害をどうとらえるかは、あくまであなたご自身の判断です。
やはり注射嫌いや血が嫌いな人は苦痛を感じます
実を言うとこれは私のことです。
まぁ注射が好きな人はそういないでしょうが、私は注射が嫌いです。
通常の注射だと、そう嫌いでもないんですが、献血の注射が嫌なんですよ。
献血って400mlで私の場合だと15分前後ぐらい針が腕に刺さったままになるんですが、その針に刺さったままというのが苦痛なんです。
針が刺さるときの痛さとかは特に問題はないんですが、今まさに針が刺さっているという状況そのものが気持ち悪いんですね。
献血する人の中には腕に針が刺さって血が抜かれている根元の場所を見ている人もいます。
看護婦さんに聞いたところ、見ていないと不安に思う人も多いそうです。
けど、私からしたらそんなこと絶対に無理です。ですので私の場合はいつも看護婦さんにお願いして針が刺さっている場所の上にタオルをかけて見えないようにしてもらっています。
タオルで隠せば、そちらを向いたとしても絶対に見えませんからね。
そして、血も嫌いです。
献血の時に「血」自体を目にすることは基本的にありませんが、私の場合では、たとえ血を見なくても、今まさに血を抜いているというその状況そのものが気持ち悪いんです。
このように、私は注射も血も嫌いなんですが、ではなぜ献血しているかというと、苦痛だからこそ終わった後の解放感がたまらないんですよ。
例えてみれば、熱いサウナに我慢して入った後に水風呂に飛び込むと気持ちがいいのに似ているのかもしれません。
献血当日は激しい運動などができない
献血した当日は、水泳やマラソンなどの激しいスポーツは避けましょう。腕から採血したわけなので、腕に負担のかかるテニスやバレーボールも避けた方がいいでしょう。
また、重労働もしないほうがいいですし、お酒は2時間後から飲めますが、あまり飲み過ぎないほうがいいと思います。
とにかく、献血当日は基本的におとなしくしておいて下さい。
なお、献血後の飲酒はできますが、飲酒後の献血はできません。
絶対ダメ!こんな人は献血できません
献血に行けば分かりますが、献血前には色々なことを質問されます。
今日の体調はもちろん、海外旅行の経験だとか病気のことだとか質問項目は多岐にわたります。
そして、その質問に対し嘘偽りなく正確に答えれば、献血できない人は完全に排除される仕組みになっています。
けど、これはあくまで献血者が嘘偽りなく答えてくれる。ということが前提なんですね。
ですので、念のために、献血の時に必ず守ってほしいことをいくつか書いてみます。
エイズ検査目的は絶対にやめて下さい
献血すればエイズ検査もできる。と思う方が少なからずいらっしゃるようです。
しかし、献血でエイズ検査はできません。仮にエイズだと発覚しても告知もしてくれません。というか、エイズ検査目的で献血を利用するのは絶対にやめて下さい。
エイズ検査は全国の保健所などで無料でかつ匿名で受けることができます。
HIV検査・相談マップ HIV・エイズ(AIDS)・性感染症の検査・相談窓口情報サイト
風俗に行った後は6ヵ月間献血できません
意外とこれを守れていない人がいるようです。
献血の問診には、
「6ヵ月以内に次のいずれかに該当することがありましたか。」
に対して、
「不特定の異性または新たな異性との性的接触があった。」
という項目があります。
当然ですが、風俗で遊ぶとこれに当てはまりますよ。デリヘルやピンサロなどのセックス無しの風俗でも性的接触になります。
とにかく、抜き系の風俗を利用した場合、6ヵ月間は献血しないようにして下さい。
そして、風俗ではなく一般の素人だとしても、新たな異性と性的接触した場合も同様に6ヵ月間は献血できません。
最後に
献血にはデメリットやリスクもありますが、メリットの方が多いと思います。
ですので、私は今まで献血を35回しましたし、これからも69歳になるまで年に2~3回程度はしていくつもりです。
近年、献血する人が年々減ってきて血液は非常に不足しています。
特に16歳から29歳の若い年代の献血離れが深刻です。
あるデータによると、10代では15年前に10.2パーセントだった献血率が6.4パーセントにまで下がってしまったとのことです。
最初にも書きましたが、血液製剤は人工的に造ることができません。そして、長期保存もできません。したがって、今のままでは2027年におよそ約85万人分の血液が不足すると推測されています。
だから、メリットがあるから献血をする。というのでもいいですが、そんな損得勘定だけではなく、見知らぬ誰かの役に立つということで、少しでも多くの人が献血への理解と協力をしてもらえたら嬉しいです。
ぜひ一度、お住いやお勤め先の近くにある献血ルームや献血バスを訪ねてみて下さいね。